阿呆文庫

自作小説ブログ

【独白】もんじゃ焼き

 もんじゃ焼き。そんなものは、食べたことがありません。
 巷では、ゲロのようだと聞いたことがありますが、本当でしょうか。ゲロの、あの独特の、ツンとした臭いは苦手です。
 そもそも、「もんじゃ」とは、どういう意味なのでしょう。私は、某国民的RPGに登場するモンスターが思い浮かびますが、そのモンスターはそんなに好きではありません。むしろ嫌いといって良いでしょう。
 そもそもその二、私はお好み焼き自体あまり食べません。お好み焼きとご飯を一緒に食べる?正気の沙汰とは思えません。箸ではなくヘラ、コテ、いやテコを使う?勝手にしやがれ
 私は引きこもり体質ですから、お好み焼き屋さんに行くこともありません。これからも自主的かつ主体的に訪れることは無いでしょう。
 ただ、「広島焼き」という言葉には吹きすさぶ響きがありますね。

【小説】どっち?

 ある歌手は悩んでいた。

 野外コンサートを開きまくるが、まったくふるわず。

 やがて、自分の容姿が原因と結論付けた。

 整形とホルモン注射を繰り返す歌手。

 歌手は、おぞましき筋肉の塊と化した。

 そのうち、歌手を恐れて誰も来なくなった。

 青汁を飲んでうなだれる歌手。

 一人の漫画家が、歌手に近付いて言った。

 「君をモデルに、漫画を書かせてくれないか」

 そうして、世界中が知る、あの緑のキャラクターが生まれたわけである。

【小説】佃煮

 佃煮を食べながら、幹部候補リストを読む。

 「佃煮、お好きなんですか」

 「ん。健康に良いと思ってね。ひとついるかい」

 「いえ、僕はサプリメント食品しか食べないので」

 そう言って彼は、おもむろにカプセルを胸ポケットから取り出し、バリボリ食べ始めた。

 ムキ。ムキムキムキ。と彼の筋肉は肥大し始め、スーツをビリビリと破いてしまった。

 「君。何をしているんだね」

 なおも私が佃煮を食べていると、彼はおもむろに佃煮の入った容器を持ち、窓から飛び出していった。

 幹部候補リストも無くなっている。

 「ふっ…そういうことか」

【小説】レポートを渡せ!

 脂汗が溢れ出る。

 外は雨降り。

 いんげん豆を口に持っていく手が止まらない。

 大学のレポート。

 偉い人の言葉を引用しまくって権威付けしたのは良いが、引用元を明記するのをことごとく失念していた。

 友人に「俺はもうレポート完成したぞ。君はまだだと?ハッハッハ!まだまだだな」などと言わなければよかった。

 今や、私がレポートを完成させたのは大学中が知っている。

 誰かがおもむろに救助の手をさしのべてはくれないだろうか。

 苦難の時である。大きな裂け目に転落してしまったのだ。落ちた先には瘴気が立ち込め、打撲と息苦しさに苦しみつつ、脱出せんとモゴモゴしている。


その時、ドアが鳴った。階下に住む男であった。筋肉まみれの大男である。

「おい!水漏れしているぞ」

「うちではない。今は猛烈な雨が降っているから、そのせいだろう」

「そんなはずない。見せてみろ」

男はずかずかと家に入った。

「みろこの床を。濡れている」

そこはさきほど、俺があぐらをかいていたところだ。たしかに、水浸しである。

「ばかな。何もこぼしていないというのに」

「汗だろう」

「えっ」

「お前は尋常ではないほど汗をかいている。そのせいだ」

「ともかく、俺のレポートが濡れて台無しだ。どうしてくれるのだ」

「わかった。ここはひとつ、このいんげん豆で勘弁してくれ」

殴られた。

男は俺のレポートを見つけると、ひったくってもっていった。

後日、大学の広報に、レポートへの無断転載により退学になった者が1名云々の記事が踊った。