阿呆文庫

自作小説ブログ

【パロディ小説】バイオ太郎

 ある日、オジーは山へ芝刈りに、オルバは川へ廃棄物を捨てに行った。

 オルバが川で廃棄物を処理していると、川上から何かが流れてきた。

 それは、桃…いや、「かつて桃だった」ように見える物体であった。全体的に黒ずみ、形は崩れているし、よく見るとハエがたかっている。腐っている。

 しかし、それにしても大きな桃だ。まあ、遺伝子の突然変異によるものだろう。特に珍しくはない。

 以前にもこういうことはあった。巨大化した魚、鳥の死骸。

 桃はオルバの近くに来て止まった。猛烈に臭い。

 オルバはそこらへんの木の枝を拾い、桃をツンツンしてみた。
 

 
グシャアっ!

 
 オルバ「うっ! うああああ!」

 なにか飛びだしてきた!腐った……人間!?

 
 オルバは懐から銃を抜き、引き金を引いた!

ドンドンドン!

………


 オジー「ただいま、ハニー……」

 いない。いつもなら先に家にいるはずだが。

 何かあったのだろうか。

 オジーはマグナムを装填し、家を飛び出した。

………


 「大丈夫か!ハニー!」

 「! オジー! ええ、私は大丈夫」

 オジーは川に浮いている腐敗物に気付いた。

 これは!生物兵器、「MTR」か…

 「こんなものが流れてくるとはな…奴はどこに?」

 「逃げていったわ。でも安心して。しっかりとアレを撃ち込んでおいた」

 KIBI弾 ver.Ⅴ か…。

 オジーは懐からデータパッドを取り出し、起動した。

 ……反応がある!対象は動いている!

 ……この弾は、撃った相手の身体に残り、位置を発信し続ける。


 「ふっ…生えた雑草は、刈り取らなくてはな。ゾンビハンターこと芝刈り屋の本領を」

 「いいからさっさと行って始末してきて」
 
 「はい」


 こうして、オジー生物兵器MTRを追跡し始めた。


 ……… 

 
 道中、何度も敵に襲われた。ゾンビ猿、ゾンビ犬、そしてゾンビキジ。

 弾を節約するために、出来るだけ戦いは避け、戦いになっても逃げ続けた。

 

 ここで終着点だ……。

 オニズ・アイランド…。

 政府が立ち入り禁止にした島だ。

 ここには、組織が作った「失敗作」が投棄されている。

 コードネーム、タハムという生物兵器だ。人型で、3メートル以上の巨人。人を殺戮するために作られた。

 ここにはそのタハムがゴロゴロいる。


 厄介な所に連れてきやがって…
 
………

 
 なん…だと…

 タハムがみんな死んでやがる!

 MTR…なんて強さだ。

 しかし……やるしかない。

………


 MTRはくつろいでいた。

 不意に、肩と背中に衝撃が走り、地面に叩きつけられた。

 振り向くと、遠くに人間が、銃を構えて立っていた。銃、というものはわからないが、こいつがこのオレ様に攻撃した、ということは認識した。

 モンスターは猛然と走り出した。人間は、すぐ隣の小屋に駆け込んだ。

 モンスターは、走る勢いそのままに壁をぶち破り中に侵入した。

 そこにいたのは、瀕死のタハムだった。壁によりかかって座っている。

 とりあえずモンスターは目の前の獲物を八つ裂きにするため、飛びかかった。

 その瞬間、目の前が光に包まれた。

………


 粉々に吹っ飛んだ小屋を、遠目から見つめる男。

ジー「うまくいったか」
 

 煙が立ち込めている。

 少しずつ晴れてくる。

 
 !!あいつ…生きてやがる!


 やばい!こっちへ向かってくる!

 
 オジーは走り出した!


 しかし、すぐに追いつかれた!


 オジーは猛烈なタックルをくらい、吹き飛ばされた!


 くっ……ここまでか…


 オジーは死を覚悟した。


 ギャオおおおお!


 突如響き渡る奇声!


 なに!

 
 ゾンビ犬とゾンビ猿とゾンビキジがMTRに襲いかかっている!
 
 あのゾンビ共、ここまで俺を追ってきていたのか。

 KIBI弾 ver.Vには、撃たれたゾンビが他のゾンビに敵と認識され、襲われる効果もある。

   
 プロペラの音が聞こえる。ヘリコプターが近付いてくる。

 あれは……オルバだ!

オルバ「オジー、乗って!脱出するわよ!」

 オジーはヘリに乗り込んだ。ヘリは急速に島を離れていく。

ジー「すまん……思った以上に手強くて、仕留めきれなかった」

オルバ「大丈夫よ。もうすぐ島は吹っ飛ぶ。核爆でね」

ジー「えっ」

 ヘリと行き違いに、ミサイルが島に飛んで行った。後ろで轟音と共に太陽が現れた。

 
………


 二人の戦いはこれからも続く…。


 おわり