花見
見られていたのはッ!俺たちだったッ!
ただただ、俺達は桜の下で飲み食いするだけだった。
桜など見ていない。花見とは文字だけ。実際は違う。
たまに桜の花びらが降ってきて虫かと思いビックリするくらいだ。
桜は、下を向いている。人間にその美しさを見せるためなどと言うヤカラがいるが、とんでもない!
見られているのは、俺達なのだ……
そして、嘲笑っているのだ……
サクラ!なんてネクラなヤツ!アグラをかいて座って、酔い潰れた男のネクビをかくつもりだった!そんな雰囲気はオクビにも出さず、アクビをかく男に狙いを定めているッ!
それ!今だ!と言わんばかりに散り乱れるサクラ!
ああ!やられたッ!
大量の花びらが口の中に入った!
「ぬわああああっ!」
もがき苦しむ男! なんとむごたらしい!
桜の木は、この時を待っていたのだッ!
見られていたのは、俺たちだったッ!